特集

大丈夫?ネット社会の子どもたち -成田弘子 -

〜子どもの行動の変化から感じたこと〜

私は、33年間小学校教員をしていて、子どもたちの行動の変化(キレやすい)への危惧から現職時に啓発活動を始め、退職後の現在も継続しています。

キレやすい子どもの具体的な特徴をあげると以下のような行動です。

○ 攻撃的な言葉遣い

○ 言葉よりも先に、手や足が出る。(つまりぶったり、蹴ったりする)

○ 相手の話が聞けない。(トラブルの仲裁のためにお互いの言い分を聴きことが出来ない)そのような行動を取る児童のエピソードを紹介したいと思います。

先日、ある小学校に教員対象の講演に伺った時に、1年担任の先生から「クラスの"気になる子"は保護者が乳児期からタブレットで子育てしてきた子どもだった」というお話を聞きました。常に上記のような行動のため、「友達と遊べない、一緒に行動できない、暴力を奮ってトラブルになる、その結果、教師や周囲の大人から注意され、またキレる」という悪循環に陥っている状態でした。

また、「1年生の学級に集団生活ができない子どもがいて、学級が落ち着かない状態になっている。その子を校長室で預かることが多く、保護者とも家庭でのゲーム漬けの生活改善法について話しているがなかなか難しい。」という校長先生のお話も聞きました。

「今はスマホやタブレットが主流です。上手に使わせれば大丈夫」という啓発を聞いたことがあります。しかし、上記の実例は「上手に取り入れている」つもりが、「とんでもないこと」になってしまうということを示しているのではないでしょうか。

でも希望はあります。上記の1年生児童は、担任のねばり強い働きかけで、保護者はタブレット漬けの子育てを改め、児童は少しずつ友達とのコミュニケーションが出来るように変化してきたそうです。早く対応すれば、子どもの発達の力をとり戻すことが出来る良い例と言えます。

〜子どもを取り巻くメディア機器の現状はどうなってる?〜

このような問題は、もう都市部・地方を問わず、どこの学校でも起こり得る、または現実に起こっている問題だと言えます。目の前で問題を起こしているのは、児童生徒たちですが、私は子どもたちこそ、被害者かもしれないと思うのです。

というのは、いつも講演の中で保護者の方に「最近のゲーム機(DSなど)や音楽配信ツール(ipodなど)がインターネットにつながることを知っていますか?」と質問すると、手が挙がるのは半数か、それ以下です。つまり、子どもたちに買ってあげたツールを子どもたちがどう使っているかよく知らない状態でインターネットの海に放り込んでいるということなのです。

そしてインターネットを使ったSNS・ラインが絡んだ事件や事故が起きると「そんな使い方をした本人が悪い」「親が悪い」と自己責任になってしまい、そのようなツールを子どもたちが簡単に使える状況で良いのかどうかという問題にまで考察するメディアがほとんどないことが非常に残念です。

〜スティーブ・ジョブズのエピソード〜

日本での対策の遅れが懸念される中、興味深い記事を見つけました。

2014年9月10日付けのNYTimesにスティーブ・ジョブズが「我が子へのテクノロジー制限をしていた」という記事がありました。(http://treadsoftly.jp/steve-jobs-apple-was-a-low-tech-parent/

この記事の内容を皆さんはどのように受け取られますか?私には非常に警告を含んだメッセージに思えます。

成田弘子(元白梅学園大学特任教授・NPO子どもとメディア公式インストラクター)
公立小学校教諭として33年間勤務
退職後、白梅学園大学にて小学校免許希望者への指導を担当し、現在は嘱託研究員
著書
「子ども白書」2012〜2016子どもとメディア領域「この一年」を執筆
「保健室」【ネット社会と子どもの成長】連載執筆

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