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情報爆発時代のネット依存 -渡邉 純子 -

インターネットで情報の世界は変わってしまった

私はかれこれ四半世紀以上、インターネット(以下ネット)にかかわる仕事に携わってきました。研究者や通信関係者を除けば、日本最古のネット世代のひとりです。私のはじめてのネット仕事は1992年。世界初のWebサイトが誕生した翌年でした。

 

なぜこんな昔話をしたのかというと、ネットが普及する前と後で世の中の情報のあり方は全く違ってしまったのだ、ということをお伝えしたかったからです。

 

カリフォルニア大学バークレー校のピーター・ライマン氏によれば、2001年から2003年までの3年間の情報量は、人類が30万年かけて貯蓄してきた全情報量を追い抜いたそうです。

日本においても、2005年から2014年の間に国内で流通するデータ量は9.3倍に増えました。(平成27年度版 情報通信白書 総務省より)

 

そして、さらに爆発的なデータ量の増加が予測されています。

グラフ画像

図表3-1-1-1 データ流通量の推移 平成26年度版 情報通信白書(総務省)より

 

このグラフは国際的なデジタルデータ量の推移を示したものです。東京五輪が開催される2020年では、2010年の約40倍のデータ量となることが予測されています。2000年の情報量と比較すると、約6400倍。まさに「情報爆発」です。

 

現代社会で大人も子どももネットに依存しがちな状況になっている背景には、この超情報過多の環境があることを知っておいてください。

 

無限のビュッフェが誘惑してくる時代

さて、ここでネットの閲覧がやめられない、ネットサーフィンの依存症について考えてみたいと思います。

 

いま、日常生活にどんどんネットが入り込んできています。たとえば、時間や情報の表示面積に限りのある媒体では、ネットで情報を補うのが当たり前になりました。以前よりもネットにはまるのは簡単に、そして自分の意志でネットとの距離をコントロールすることはいっそう難しくなっています。ネットにはまったほうが楽で、ネットに依存したほうがより多く、より質の高い情報が得られる環境といえます。

 

でも、ここで先ほどのグラフを思い出してみてください。 あのすさまじい勢いで増加していく情報を丸のみすることは絶対にできませんよね。そう、ネットサーフィンへの依存は、料理の種類が無限にあるビュッフェを食べつくそうと格闘するようなもの。どこかでやめなければ、自分が壊れてしまいます。

 

ネットを最強の思考の武器に変えよう

ではどうやったら、情報の誘惑から逃れることができるのでしょうか? 私の考えはシンプルです。摂取するべき情報を自分で取捨選択すること、これにつきます。

 

情報の受信機としてのスマホを解約してしまえば手っ取り早いのでしょうが、上に書いたような社会の環境では、かなり難しいことです。

よって、時間を決める、通知を減らす、分野を絞り込む(例:ニュースアプリの表示タブを減らす)、代替する(例:レシピは本で見る)などの工夫で目に入ってくるネット情報を絞り、そのうえで選択的に情報を得るようにするのが次善の策ということになるでしょう。

 

このような態度と思考は、自分の時間、そして心と体を守る要となります。そして生まれた時間で、自分の頭で考え新しい何かをアウトプットできれば、ネットは時間泥棒ではなく最強の思考の武器に変わるのです。

 

ネットに依存し、人生を無駄にしてしまっては、なんのために先人たちがインターネットという英知の塊をつくりあげたのか、わからなくなってしまいます。

情報との「腹六分目」のつきあい方を身につけ、ネットへの過度な依存から脱し、情報爆発を自分のパワーに変えていきましょう。

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)/株式会社コドモット代表取締役社長
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。
独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の 子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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