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Vol.5 子どものネット利用について 全国学力・学習状況調査報告書

(文部科学省 国立教育政策研究所平成25年12月)から 【Part1】

先日発表された全国学力・学習状況調査報告書を見ると、学校教育の他に、家庭での学習の関わり方や生活習慣、子どもの意識などが、学力に影響することが分かります。
調査は小学校6年、中学3年のみ、4月に調査。
教科は小学生国語A,B算数A,B、中学生国語A,B数学A,Bと調査範囲は限定されていますが、いくつか子どものネットの利用について、参考にしたい項目がありますので3回に分けてまとめてみました。

●ネットの利用時間について

(普段(月〜金)一日にどれくらいネットを使うか。携帯スマホ含む)

小学生:算数A
「1時間より少ない」が79,4ポイント 「全くしない」 77,4ポイント 「4時間以上」 68,0ポイント。
算数Aの結果しか出ていませんが、ネットの利用は「全くしない」より「1時間より少ない」が最も平均正答率が高いという結果です。

中学生:国語A 数学A,B
いずれもネットの利用時間は「1時間より少ない」児童の平均正答率が一番高く、「全くしない」を若干上回っています。
「4時間以上」の利用は正答率は低く、ネットの長時間利用についてはマイナスな影響が見られます。

結果からは適度なネットの利用は学力に影響がなく、むしろ1時間程度利用する方が少しではありますがプラスな影響があるようです。
1時間という時間の内訳などに踏み込んではいませんが、趣味や遊びというより、連絡や情報などのツールとして活用しているのではないかと考えられます。
また1時間でやめることができるという、自己管理能力の高さが、成績にも表れているのかもしれません。

●ゲームについて

(普段(月〜金)一日にどれくらいテレビゲームをするか。PCゲーム・携帯式ゲーム含む)

ゲームについてはテレビゲーム(コンピューターゲーム、携帯式のゲーム)との記載のみで、PCや携帯型のゲームにオンラインゲームも含むのか否かの分類は記載されていません。

小学生:国語A,B算数A.B
中学生:国語A,B数学A.B

いずれも「全くしない」児童が学力が高いという結果が出ています。
中学数学Aにおいては「1時間より少ない」が「全くしない」を0,1ポイント上回っています。
中学数学Bなどは「全くしない」児童と「4時間以上」という児童の間では16,5ポイントも平均正答率に違いがあり、利用時間については家庭で時間を決めて利用することが重要といえます。

●毎日同じ時刻に寝ていますか

小学生:国語A,B 算数A,B
「している」「どちらかといえばしている」に当てはまる児童の方が平均正答率が「あまりしていない」「していない」を上回っています。

中学生:数学A
数学Aのみですが同様の結果です。
スマートフォンからのネット利用が増え、ベッドに持ち込み"寝オチ"する子も増えています。
健康の面からも寝る時に室内に持ち込むことは避け、決まった時間に眠るように習慣づけることも大事です。

●自然の中で遊んだことや、自然観察をしたことがありますか

小学生:国語A,B 算数A,B
中学生:国語A,B 数学A,B
いずれも「当てはまる」児童が「当てはまらない」児童を10ポイント以上、上回る結果が出ています。
自然の中で遊ぶことや自然観察することは学力にプラスの影響を与える効果があると言う結果です。
安全面などの考慮もあり、最近は外で遊ぶことが少なくなりました。
またゲームや動画、など小学生でも室内でネット、もしくは児童館や公園でもモバイル端末でネットやゲームという光景が増えました。
ネットの利用に偏ることなく、バランスよく自然の中で遊ぶことは重要です。
自然を通して体験したことや、経験は成績だけでなく視野を広げることにも繋がります。
高校生になってからいきなり「自然の中で遊びましょう!」といっても、すぐに子どもが行動に移してくれるかというと難しいでしょう。
小さなころから充分に体験させ、自然遊び、体を動かすことの経験値をあげてからネットを使っても遅くはないということも親が考える必要があります。
ネットを使うならそれ以上に自然と関わることを心掛けることが教育にも必要といえそうです。

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エンジェルズアイズ 遠藤美季

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